東京医科大は、同大八王子医療センターにて、生体肝移植を受ける患者たちに対して、移植手術前に寄付を求め、9人から約1,200万円を受け取っていたことが明らかになった。
手術直前の不安な気持ちを逆手に?
寄付を求められた患者の家族は、当然、手術直前になぜ?と思ったそうだ。しかし、手術をして欲しかったので振り込んだと語っている。寄付の請求に応じないと適切な治療を受けられないのではないかという不安を、患者や家族に与えかねない行為だったと言えるだろう。
これに対して、東京医科大は「慎重さに欠けていた」と、不適切な行為であったことを認めた。
2005年10月~2008年1月、第5外科の教授と准教授(現在はいずれも退職)が、手術前の患者に対して「移植医療の振興」を目的として寄付を求め、9人が65万~300万円を支払ったという。この寄付金は、大学の会計に入れられた後、第5外科が管理し、保険が利かない高額な薬の購入や、手術を指導した元京大教授の田中紘一氏への謝礼に使われた。
第5外科では、腎臓移植においても、2005年11月~2008年10月に患者7人から計190万円を受け取っている。
医療という命を預かる現場で寄付金を求めるというのは、なんとも理解に苦しむ行為である。東京医科大の臼井正彦学長は「寄付を求める時期に問題があった」と言っているが、時期ではなく、その精神に問題があるように思えてならない。
東京医科大学