家庭の主婦までもが家計の助けに株式投資をする時代。それが今の日本だ。「とりあえずはじめてみたけど仕組みがまだよく分かってない」などと言った一般投資家向けのコンサルティングはここへきて急増している。
特に、東京証券取引所が一般向けに公開している金融講座の「東証アカデミー」が人気を集めている。
「債券と株式は大きく違います。債券には満期がありますが、株式には満期がありません」
「東証アカデミー」の講師を務める、東証審議役の木村享司さんがそう語りだすと、40人の受講生達は熱心に耳を傾けていたという。
アカデミーを開校して2010年で6年目を迎える東京証券取引所。なんと2009年度のアカデミーには、社会人だけでもおよそ8800人もの人数が参加した。
人気の理由は、資料代ほどの受講料で、本格的に金融の仕組みを学べることと、自分のレベルに応じて好きな講座を選べるところにある。夕方からの講座には、会社帰りのOLも積極的に姿を見せている。
こうした一般投資家へ対する、金融や経済を深く知ってもらおうという試みがなされるのは、日本に一般投資家が増えたせいだろう。
それに加えてさらに、一般投資家向けならず、子供向けの金融や経済の教育が広がりつつあるというのだ。
東証では夏休みに親子経済教室や教員向けの無料講習も行う一方で、金融証券を販売する証券会社も子供の金融学習へと名乗りを上げた。野村グループの一社である、野村ホールディングスだ。
野村ホールディングスは「まなぼう教室」と題し、2008年8月から全国各地の小学校で、金融や経済の出前授業を行っている。講師となるのは野村ホールディングスの社員。大型サイコロを使ったゲームで為替の円高・円安が生活に与える影響などを教えている。
出前授業の開催はゆうに30回を超えており、今まででのべ約1600人の児童が参加している。学校側やPTAからもこの出前授業は公表で、今後は中学校などにも授業を拡大していく方針だ。
また、大阪証券取引所でも、小・中学生を対象とし、取引所や日銀大阪支店を見学コースとする「夏休み金融・株式スクール」を開催する計画などをたてており、各証券取引所でも子供向けの教育に取り組む姿勢を見せている。
「子供の頃から経済の知識を身につけさせたい」という親の思いもあるようだが、子供は興味のないことからは全力で逃れようとするもの。
子供に金融や経済の仕組みを教える各証券取引所や企業は、子供を侮らず、なおかつ、子供にもわかりやすい工夫を施しながら経済の仕組みを教えていくように努力して欲しいと思う。
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